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変身

台風がすぐそこまで来ていた。

ベランダに置いていた水槽の水があふれ中に入っていた亀の亀吉がいなくなっていた。

恋人に振られ、亀にまで逃げられ、みきにとって、最低、最悪の日だった。

冷蔵庫を開けると、恋人の為に用意してあったビールが…

「最悪」

プシュっと蓋を開け、ドンドン飲んだ。飲まずにはいられない夜だった。


朝は、突然やってきた。

ベランダに入り込んだ雨水がキラキラと光り、みきの姿をうつし出していた。

あれ???

そこに映し出されているのは亀だ。亀以外の何物でもない。

何だかおかしくて、みきはけらけらと笑ってしまった。

ケラケラ笑う亀が水に映っている。

まだ、酔っぱらっているのか、夢なのか…どっちにしても現実ではない。こんなことありっこないのだ。ぼんやりベランダの下を見ると、亀吉がいた!みきは、ベランダから飛び降りた。正確には落ちた…

亀吉は、みきが声をかけるより先にすごいスピードで駆け寄ってきた。

「か、彼女可愛いね。」

なんて、下手な口説き文句。みきがあきれ顔で亀吉を見ていると、のっそりとみきの上に亀吉が乗っかってきた。

こ、これは、まさか…夢でもイヤだ…

「いやーーーーー」

気がつくと、みきは、亀吉の横に座り込んでいた。亀吉はきょとんとした顔でみきを見ている。


翌日、みきは亀吉を入れていた水槽より一回り大きな水槽を飼い亀吉ともう一匹、水槽と一緒に買ってきた亀を入れた。

「仲良くね」

別れた恋人を思うとみきの胸のはじっこは、まだ少しだけいたんだ。

けど、きっと、大丈夫。

きっと、頑張っていける。

そんな気がしていた。

空はすっきりと晴れ渡っている。

おしまい。

数年前に「変身」というテーマに沿って書き上げ、応募した作品です。見事落選(涙)しましたが、自分ではわりと好きだったので、ちょっとだけ書き直してみました。

くまごろうさんのめがね

森を出てすこーし行ったところに、
緑の屋根のめがねやさんがありました。
めがねやさんの名前は「ごろう」さんっと
いうのですが、体が大きく熊のようなので
みんなからは「くまごろう」さんと呼ばれていました。 くまごろうさんは、どんなめがねでも作れると
森の動物たちの間でも評判で、その評判を聞
きつけたリスのルルとリリがくまごろうさんの
お店をのぞいていました。 めがねが必要なのはリリの方でした。リリは産まれたときから目が悪いため
に木にも登れないし、走り回ることもはちろん、歩いていてもつまづいて転んでしまうのです。もちろん、ルルや他のリスたちはそんなリリに手をかしてあげたりはしていたのですが、リリは悲しくていつもシクシク泣いていたのです。
「目さえよければなー」
ルルは泣いているリリの横でボンヤリそんなことを考えていました。

ある、晴れた日、ルルは森の仲間たちに「リリの目を良くすることは出来ないだろうか?」っと相談をしていました。すると、トンボのもーリーが「くまごろうさんにめがねを作ってもらったらとっても良く見えるようになったよ。」っと水色の
めがねを見せてくれました。
「くまごろうさんは、どんなめがねでも作れるらしいよ。」
他の仲間たちもそんなことを言いました。

ルルのお母さんは「にんげんは怖い動物よ。」っと、くまごろうさんのお店に行く個とを反対しました。
にんげんはルルも少し怖かったけど、くまごろうさんのめがねがあれば、リリは木にも登ることが出来るし、みんなと一緒に走り回ることも出来るのです。
だから、ルルはリリをつれてくまごろうさんの店へ行くことにしたのです。最大級の勇気を持って!

ルルとリリがくまごろうさんの店についたのは、太陽も沈みかけた頃でした。
くまごろうさんは仕事を終え、可愛い奥さんに肩をたたいて貰っている所でした。

ルルとリリに気がついたのは奥さんの方でした。
「まだ、お仕事は終わりではないようですよ。」
そう言って風のように笑い窓を開けてルルとリリを中へ入れてくれたのです。
くまごろうさんはジーーっとルルとリリを見て、フラフラ歩くリリをひょいっと持ちあげました。そうして黙ってリリに良くあう素敵なめがねを作ってくれました。

次の日、くまごろうさんの家の前にたくさんの木の実が置かれていました。
ルルやリリ、森の仲間たちからのお礼です。

リリは、もう泣いたりしていません。とびきりの笑顔で仲間たちと森の中をかけ回っています。

もし、森へ行くことがあったら、よーーっくまわりを見てみてください。
めがねをかけたリスがいたら、それがリリです。
もし、あなたが優しいにんげんで、ルルとリリとお友達になることが出来たなら、くまごろうさんが作ってくれためがねを見せてくれるかもしれませんよ。

おしまい。

死に神

深い深い森の中に、小さな赤い屋根のお家がありました。
この家には、17になるこの国のお姫様がいました。

お姫様は、もう、何年も病気で苦しんでおられました。

王様は、世界中の名医を集め、お姫様の治療を依頼したのですが、いっこうに良くなることはなく、いつしか、姫には悪魔がとりついているっと噂が立ち始めこの国で起こる全ての災いは姫がもたらしている、姫を殺せっとその怒りの矛先がこの、可愛そうなお姫様に向けられてしまったのでした。

王様も、お后様も大変心を痛め、この森にお姫様を隠すことにされたのでした。



ある、月の綺麗な夜のことでした。

お姫様が目を覚ますと足下に黒い背広を身にまとった若い男が立っているのが目に入りました。男はお姫様が目を覚ますと深々と頭を下げました。

男は、見習い期間を終えたばかりの新米の死に神でした。

「あなたをお迎えにまいりました。」

それで、お姫様は、もう自分は死んでしまうのだとわかりました。

「死に神様ですか?」

お姫様がゆっくりと言いました。

「そうです。あなたの命は今夜限りなのです。」

死に神はそう言って、お姫様の手をとりました。冷たい、冷たい手でした。お姫様の目から金色の涙がポトリと落ちました。その涙があんまり暖かかったので、死に神はその手を放してしまいました。

「悲しいのですか?」

死に神が聞きました。

「いいえ。さみしいのです。死の世界にはお父様もお母様もいらっしゃらない。それがひどく、淋しいのです。」

月がキラキラと輝きました。

「けれど、私はあなたを連れて行かなければなりません。」

死に神は、とても悲しそうな顔でそう言いました。

「死に神様、あなたが、連れて行ってくださるのなら、一緒に参ります。お別れはとても悲しいけれど、この苦しみからもようやく解放されるのですよね。どうぞ、死の世界へ連れて行ってください。」

そう言って、お姫様はキラキラと笑ったのです。その笑顔があまりにも眩しくて、あまりにも美しく、死に神はもう、お姫様の手をとることが出来なくなってしまいました。死に神は代わりにお姫様にとりついていた病魔の手をとりました。

「あなたが、おばあさんになった頃、また、お迎えにあがります。」

死に神はそう言って、病魔を連れ去っていきました。

お姫様がもう一度目を覚ましたとき。お姫様の体はとても軽くなっていました。お姫様は久しぶりに体を起こし、キラキラ輝く太陽を見ることができたのです。

死に神は、もう一度、見習いからのやり直しになってしまいましたが、ほんの少しの後悔もしてはいませんでした。

おしまい。

ある日のできごと

ある日の出来事 セカセカセカセカ、イライライライラ。
愛ちゃんのお母さんは、お日様が昇る前に起きて、日が沈むまで働きます。
セカセカセカセカ、イライライライラ。
愛ちゃんのお母さんは向日葵みたいに笑うことも小鳥のように歌うこともしません。
セカセカセカセカ、イライライライラ。
お母さんはいつもそんなです。たくさん働いてお金持ちのになりたいのです。

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儀式

真夜中12時、学校のグランドに少女達が集まっていた。

少女達は、まどかを取り囲むような形で手をつなぎ立っている。

男の子とデートをしたり、友人達とショッピングに出かけたり、楽しいことは色々あったけれど、日常は退屈で、退屈で…まどかはいつしかこうした奇妙な儀式に足を踏み入れるようになっていた。

何も怖くはない。今まで何人もの仲間がココに立ち、結局は何もなかった。ただ、すーーっと倒れるだけだ。そうして、数分後には何もなかったみたいに笑うのだ。だから、何も怖くはないのだ。まどかはただ、その倒れる一瞬を経験したかっただけだったのだ。

そう、それは、小さな好奇心だった。

儀式が始まった。

五分後、まどかは仲間達と同じようにスーーッと倒れた。けれど、目を覚まして笑ったのはまどかではなかった。いや、そこにいるのは確かにまどかである。けれど、そこでこうして、そこにいるまどかを見ている自分はいったい何者なのか…

「きゃーーーー」

まどかの叫び声は闇の中へ消えていった。


「まどか、朝よ。学校に遅れてしまいますよ。」

母親がまどかを起こしに来る。

「はい。お母様。」

まどかは、変わらぬ日常の中で暮らしていた。



中央に少女が一人。
まどかやその仲間達が少女を取り囲んでいた。少女は少し震えている。

「やっぱり、やめようかしら…なんだか怖いの。」

「大丈夫、新しい自分に生まれ変わるだけよ。」

まどかがニヤリと笑った。

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