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ある日のできごと

ある日の出来事 セカセカセカセカ、イライライライラ。
愛ちゃんのお母さんは、お日様が昇る前に起きて、日が沈むまで働きます。
セカセカセカセカ、イライライライラ。
愛ちゃんのお母さんは向日葵みたいに笑うことも小鳥のように歌うこともしません。
セカセカセカセカ、イライライライラ。
お母さんはいつもそんなです。たくさん働いてお金持ちのになりたいのです。

お母さんは、愛ちゃんが学校に入るとすぐに愛ちゃんを「塾」に入れました。
「良い学校」に進学させたかったのです。
「良い学校」に入れば「言い会社」に入れる。
「良い会社」に入れば「お金持ち」になれる。
これがお母さんの考えです。
でも、お父さんはそんな事を考えているお母さんを少し悲しく思っていました。
お父さんは知っています。
お金がありすぎて幸せを失った人。お金が無くても幸せに暮らしている人。
お父さんはセカセカ働いてイライラ暮らしているより、笑顔をいつも絶やさず畑の野菜たちに 「頑張って育て」っと声をかける人の方が好きです。その方が野菜も喜ぶし、何より愛ちゃんが喜ぶと思っていました。でも、お母さんは笑顔なんて見せないし、野菜に声なんてかけません。
そんなことは無駄だと思っているのですから。

ある日の事でした。
お日様はぽかぽか優しくて、緑は風にさらさら揺れているそんな日の午後でした。
全てがこんなにも優しいのに、愛ちゃんのお母さんはやっぱりセカセカ、イライラしています。
その、愛ちゃんのお母さんの前に何の前触れもなくまん丸の目をした少年が立ちはだかっていました。
「そこをよけなさい。」
少年はお母さんの言う事なんて少しも聞きません。
「心に風を送る必要がありますね。」
少年が言いました。
「錆も取らなければいけません。」
少年は大人みたいな声でそんなことを言いました。
「そこをどけなさい」
「いいえ、あなたの心に風を入れるまで、心の錆をとるまで、よけるわけにはいきません」
「いったい、どこの子なの?」
「時間の国から愛ちゃんに頼まれてやってきました。」
「愛に?」
お母さんは久しぶりに愛ちゃんの事を考えました。その、ほんの少しの隙間に時間の子は風を送りました。

愛ちゃんのお母さんが子供だった頃、そう、まだみんなから「さつきちゃん」っと呼ばれていた頃、お母さんはつぎはぎだらけの服を着て、靴にだって穴ぼこが開いていました。でも、さつきちゃんはいつもニコニコ笑っていたし、いつも楽しそうに話をしたりもしていたのです。

少し大きくなって「さつきさん」っと呼ばれるようになった頃、お母さんは学生だったお父さんと恋をしました。お父さんの財布の中はいつも小銭しか入っていなくて昼のランチはいつでも百円のパン1つ。

「それでも、今より幸せだった。」
ぽつりと呟くお母さんの周りを時間の子はフワフワまわってニコニコ笑いました。

学生だったお父さんは会社勤めを始め、お母さんにプロポーズをしました。何もない0からのスタートでした。家っと呼べるのはボロボロのアパート、家具だって揃っていませんでした。それでもお母さんの心はいつも弾んでいました。「幸せ」って言葉で満たされていました。
それから少しして愛ちゃんが生まれました。愛ちゃんは何にでも興味を示す元気な子だったからお母さんの仕事は増えました。でも、お母さんはいつも笑顔を絶やしませんでした。お母さんは愛ちゃんのために何かをするということがうれしくてたまらなかったのです。

「愛ちゃんは自分の時間をお母さんにわけてあげて欲しいと言いました。でも、時間はどの人にも平等にあげています。なのに何故あなただけ時間が足りないのでしょう?」
時間の子が言います。
「あなたが子供だった頃より、結婚した当時より、今の方がずっとお金はあるはずです。どの時代よりも今が幸せですか?」
お母さんは答えることができません。
「誰かの時間をあなたにあげることはできません。心に付いた錆は落としました。心に風も送りました。後は何が大切か自分で考えてください。」
 時間の子はそう言って消えてしまいました。

お母さんは少し体を休めて空を見ました。お母さんが体を休めたのは本当に久しぶりの事です。

愛ちゃんが4つになった頃でした。
お母さんのお母さんが倒れたのです。
お金さえあれば!その時、お母さんはお金が無かったことを悲しみました。
お母さんのお母さんが亡くなった後、畑だけが残りました。小さな小さな畑で売ったところでいくらにもならないと考えお母さんはこの土地を耕し始めました。そしてこの土地をもっと大きくしたいと考えました。

お金さえあれば、幸せになれる。
こびりついた錆はもう落とされていました。

お母さんはゆっくり立ち上がり、お父さんがいるだろう牛小屋へ行きました。
「まあ」
牛小屋の影に小さな黄色い花が咲いています。
「どうかしたのかい?」
「花が咲いているの。」
お父さんは目をまんまるにしてお母さんを見ました。
「さつき…」
「少しだけ休んでも良い?」
お父さんはそんなお母さんを優しく見つめて頷きました。
「ねえ、お金があったら母さんは今でも元気だったかしら?」
「金があったって直らない病気はあるさ。小さな病院だったけど、あの医者は手を尽くしてくれたじゃないか。」
お母さんはまっすぐにお父さんを見つめました。
「あなたは昔と変わらないのね。」
「そうかな?」
「そう、あなたは昔から優しかった。」
お母さんはそれからお父さんとゆっくりいろんな話をしました。ゆっくりゆっくりとした時間でした。

「ただいまー」
 愛ちゃんが駆け足で帰ってきました。
「学校の裏山に小鳥が巣を作っているの!」
 
愛ちゃんはキラキラした目で大急ぎで話しました。
「赤ちゃんの鳥が産まれるかもしれないって!だけど小鳥はとっても恐がりだから
近づいちゃ行けないって先生が言うの。愛、ちっとも怖くないのに…」
愛ちゃんのお母さんは愛ちゃんをギュッと抱きしめました。
「愛は良い子よ。きっと、小鳥とだって友達になれるわ。」
愛ちゃんは目をまん丸にしてお母さんを見つめました。
「お友達になれるの?」
「赤ちゃん鳥が大きくなったら遊びに行ってごらんなさい。きっと仲良くなれるわよ。
だって、愛は時間の子とでさえ仲良しなんでしょ?」
「会ったの?」
お母さんはコクリと頷いて向日葵みたいに明るくお日様みたいに優しく笑いました。
「お父さんも時間の子と会ってみたいなー。」
「あのね、一生懸命お願いすれば会えるんだよ。」
「じゃあ、お願いしてみよう。」
お父さんもお母さんもニコニコ笑顔です。

ニコニコニコニコ
最近の愛ちゃんのお母さんはいつも笑顔でいっぱいです。
ニコニコニコニコ畑を耕します。

今年の野菜はきっと優しく暖かい野菜になるでしょう。

                                        おしまい
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