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死に神

深い深い森の中に、小さな赤い屋根のお家がありました。
この家には、17になるこの国のお姫様がいました。

お姫様は、もう、何年も病気で苦しんでおられました。

王様は、世界中の名医を集め、お姫様の治療を依頼したのですが、いっこうに良くなることはなく、いつしか、姫には悪魔がとりついているっと噂が立ち始めこの国で起こる全ての災いは姫がもたらしている、姫を殺せっとその怒りの矛先がこの、可愛そうなお姫様に向けられてしまったのでした。

王様も、お后様も大変心を痛め、この森にお姫様を隠すことにされたのでした。



ある、月の綺麗な夜のことでした。

お姫様が目を覚ますと足下に黒い背広を身にまとった若い男が立っているのが目に入りました。男はお姫様が目を覚ますと深々と頭を下げました。

男は、見習い期間を終えたばかりの新米の死に神でした。

「あなたをお迎えにまいりました。」

それで、お姫様は、もう自分は死んでしまうのだとわかりました。

「死に神様ですか?」

お姫様がゆっくりと言いました。

「そうです。あなたの命は今夜限りなのです。」

死に神はそう言って、お姫様の手をとりました。冷たい、冷たい手でした。お姫様の目から金色の涙がポトリと落ちました。その涙があんまり暖かかったので、死に神はその手を放してしまいました。

「悲しいのですか?」

死に神が聞きました。

「いいえ。さみしいのです。死の世界にはお父様もお母様もいらっしゃらない。それがひどく、淋しいのです。」

月がキラキラと輝きました。

「けれど、私はあなたを連れて行かなければなりません。」

死に神は、とても悲しそうな顔でそう言いました。

「死に神様、あなたが、連れて行ってくださるのなら、一緒に参ります。お別れはとても悲しいけれど、この苦しみからもようやく解放されるのですよね。どうぞ、死の世界へ連れて行ってください。」

そう言って、お姫様はキラキラと笑ったのです。その笑顔があまりにも眩しくて、あまりにも美しく、死に神はもう、お姫様の手をとることが出来なくなってしまいました。死に神は代わりにお姫様にとりついていた病魔の手をとりました。

「あなたが、おばあさんになった頃、また、お迎えにあがります。」

死に神はそう言って、病魔を連れ去っていきました。

お姫様がもう一度目を覚ましたとき。お姫様の体はとても軽くなっていました。お姫様は久しぶりに体を起こし、キラキラ輝く太陽を見ることができたのです。

死に神は、もう一度、見習いからのやり直しになってしまいましたが、ほんの少しの後悔もしてはいませんでした。

おしまい。
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儀式

真夜中12時、学校のグランドに少女達が集まっていた。

少女達は、まどかを取り囲むような形で手をつなぎ立っている。

男の子とデートをしたり、友人達とショッピングに出かけたり、楽しいことは色々あったけれど、日常は退屈で、退屈で…まどかはいつしかこうした奇妙な儀式に足を踏み入れるようになっていた。

何も怖くはない。今まで何人もの仲間がココに立ち、結局は何もなかった。ただ、すーーっと倒れるだけだ。そうして、数分後には何もなかったみたいに笑うのだ。だから、何も怖くはないのだ。まどかはただ、その倒れる一瞬を経験したかっただけだったのだ。

そう、それは、小さな好奇心だった。

儀式が始まった。

五分後、まどかは仲間達と同じようにスーーッと倒れた。けれど、目を覚まして笑ったのはまどかではなかった。いや、そこにいるのは確かにまどかである。けれど、そこでこうして、そこにいるまどかを見ている自分はいったい何者なのか…

「きゃーーーー」

まどかの叫び声は闇の中へ消えていった。


「まどか、朝よ。学校に遅れてしまいますよ。」

母親がまどかを起こしに来る。

「はい。お母様。」

まどかは、変わらぬ日常の中で暮らしていた。



中央に少女が一人。
まどかやその仲間達が少女を取り囲んでいた。少女は少し震えている。

「やっぱり、やめようかしら…なんだか怖いの。」

「大丈夫、新しい自分に生まれ変わるだけよ。」

まどかがニヤリと笑った。

30

いつの間にか、30になってしまった。
母と一緒に歩いていると、母の友人に良く年を聞かれる。
「まりちゃんは、いくつになったの?」
その質問が本当に、本当に嫌で、私ははぁっとため息をつき三本の指を立てる。
「まぁ、大きくなったのねぇ。」
感心したように笑う、母の友人にあわせて、トホホと笑ってみせる。
大きくなりすぎだ。
まったく。
私も年をとったが母もまた年をとった。
年老いた母の手を引いて歩く。
「まりちゃん」
小さな子供がかけよってくる。
「おはよう。」
本当に、かわいい。
私もいつか、こんな子供を授かることができるのだろうか。
それよりも、結婚かぁ。
向こうから歩いてくる、男性に、ちょっとドキドキする。
とおる先生だ。とおる先生は、母や小さな子供たちに軽く挨拶をしている。私は、母の手をはなし、先生の手をきゅっとにぎった。先生が好き。この人の前では、私はいつも小さな子供になる。
「まりちゃん、行こうね。」
こくんと頷く。
「よろしくお願いします。」
母が頭を下げた。
母はちゃんと帰れるだろうか……
ふと、心配になるが、母の友人も一緒だからきっと大丈夫だろう。
「みんなさん、おはようございます。」
先生がそういうから、私も、小さな子供達と一緒に挨拶してみる。

なかよし幼稚園の一日が始まった。

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